預貯金の相続には遺言を!②

前回、故人の預貯金の相続手続が「スムーズにことが運んだ場合」をお伝えしました。
では、「スムーズにことが運ばない場合」とは、いったいどんな場合でしょうか。

たとえば、故人の相続人が「故人の奥さんと、故人の両親」の3人の場合で考えてみましょう。
(前提として、故人と妻のあいだに子がいない場合、このように「故人の奥さんと、故人の両親」が共同相続人になります)
この3人が良好な関係であれば、特に問題なく手続は進むかもしれませんが、「故人の奥さん・両親」が不仲であったような場合はどうでしょうか。

奥さんとしては「亡くなった主人の財産は、当然すべて私のものでしょう!」と思われるでしょう。
無理もありません。
奥様には今後の生活がありますので、亡くなられたご主人の貯金は「大切な生活の糧」のはずです。
当然、「すべて相続できる」と信じていらっしゃると思います。

一方、奥さんと不仲なご両親が、自分達にも相続権があると知ったら、ご両親はおそらく次のようにお考えになるでしょう。

「かわいい息子が亡くなった・・。自分達には相続権がある。それなのにヨメは『財産は全部自分のものだ!』と主張する。私たちも同じく法定相続人だろう!ヨメが頭を下げて『私にとって主人の預金は今後の大切な生活の糧なのです。お義父さん、お義母さんにも相続権があることは重々承知のうえでお願いするのですが、主人の貯金を全て相続させていただいてもいいですか?』と言ってくるならまだしも、当然のごとく『全部自分のものだ』と主張してくるなんて言語道断だ!ヨメが態度を改めない限り息子の預貯金は渡さないぞ!」

ご家庭事情によって異なってくるとは思いますが、経験上、おそらく上記のようにご両親はお考えになります。

正直なところ、この状態になってしまった場合は、預貯金の相続手続は進展しません。
家庭裁判所で調停もしくは審判を受けてもらわない限り、もしくは、法定相続分(奥さん=3分の2・ご両親=3分の1)で預貯金を分割すると合意しない限り、故人の預貯金を解約することは相当難しいと思います。

では、このような事態に陥らないようにするためには、どのような予防策があるのでしょうか。
次回、相続発生後に苦労しないための「遺言による預貯金の相続方法」についてお伝えします。